「ベランダ喫煙で慰謝料 下階の男性に支払い命令  名古屋地裁」

   CHUNICHI Web 中日メディカルサイト 2012年12月28日
 http://iryou.chunichi.co.jp/article/detail/20121228080032785

近隣住民に配慮せず違法
 マンションの下の階に住む男性(61)がベランダで吸うたばこの煙で
体調を崩したとして、名古屋市瑞穂区の女性(74)が男性に150万円
を求めた訴訟で、名古屋地裁(堀内照美裁判官)は、近隣住民に配慮
しない喫煙の違法性を認め、精神的な損害への慰謝料として5万円の
支払いを命じた。判決は13日。

 原告側は「たばこの受動喫煙を訴えた訴訟で和解例はあるが、原告
勝訴の判決は初めてでは」としている。

 判決によると、女性は5階、男性はすぐ下の階に居住。家族がいると
きは外でたばこを吸う習慣だった。

 女性にはぜんそくの持病があり、下から流れてくるたばこの煙をスト
レスに感じ、帯状疱疹(ほうしん)を発症した。扇風機や空気清浄器を
付けても煙が気になり、手紙や電話で喫煙をやめるよう男性に求めた
が、応じなかった。

 男性側は、女性の体調悪化と煙の因果関係は認められず、マンショ
ンの規則でベランダでの喫煙は禁じられていないこと、たばこを吸いな
がら景色を眺める楽しさや私生活の自由を挙げ、「違法性はない」と反
論した。

 判決は、川に面した景色の良さから、女性がたばこの煙を防ぐため
「日常的に窓を閉め切るような環境ではない」とし、他の居住者に著し
い不利益を与えながら、防止策をとらないことは不法行為に当たると
認めた。 

 原告側の北條政郎弁護士は「他人に配慮し、お互いの生活を尊重し
合うことの必要性を認めてくれた画期的な判決」と話した。