政府が提示したタバコの価格は4,500ウォン。
2,500ウォンから80%の値上げです。
具体的な目標価格と決意を示しました。
ムン・ヒョンピョ保健福祉相は、「2008年以降、横ばいが続く喫煙率を下げるためには増税が最善」だとしています。
根拠は2004年にタバコを500ウォン値上げした結果、成人男性の喫煙率が13ポイント以上、下がったことです。
男性の喫煙率はOECD加盟国中2位の、37.6%。
価格は加盟国中最低です。
保健福祉省 リュ・クンヒョク健康政策局長
「禁煙政策を積極的に進めなければ、我々に健康な未来はありません。」
政府は今回の通常国会で法改正を行い、来年にはタバコの価格を値上げする方針です。
韓国 保健福祉省の禁煙広告
「とてもつらいです。」
2ヶ月前に保健福祉省が始めた広告。
ショッキングな映像で、喫煙の弊害を訴えています。
政府はたばこの箱に警告の絵を入れることも検討しています。
韓国市民
「たばこをやめるきっかけになるし、効果はあると思います。」
韓国市民
「価格を上げても吸う人は吸うので、増税の効果しかないでしょう。」
2004年以降タバコの値上げ法案は数回議論されましたが、増税反対の世論を背景に国会を通りませんでした。
チェ・ギョンファン経済副首相
「税収ではなく国民の健康増進のために、たばこ税の引き上げ検討が必要です。」
価格のうち税金は48%。
WHOが消費量削減のため勧告する70%を、大きく下回っています。
禁煙運動協会 ソ・ホンクァン会長
「政府はタバコ会社にまどわされることなく、喫煙者の説得に努め、健康のための政策を進めるべきです。」
佐野
「韓国でのたばこの値上げ、今まで何度も議論されてきたそうですが、世論の反発もあって実現しなかったんですね。」
野田
「はい、そうですね。
ただ去年(2013年)の7月には、法律で飲食店での喫煙が禁止されたり、大企業でも禁煙キャンペーンを行ったりと、国全体でも禁煙ムードは高まっているようです。
禁煙をめぐる状況が急激に変化している背景には何があるのか、専門家に聞きました。」
国際会議 転機に 進む禁煙政策
国立がん研究センター たばこ政策研究部長 望月友美子さん
「韓国は日本と同様に『スモーカーズ・パラダイス』と言われた時期があるんですけれども、最近は禁煙の政策が立て続けに打ち出されています。
それは1つの背景としては、2012年にWHOの『たばこ規制枠組み条約』、この締約国会議をホスト国として開催した。
それが大きな転機になったと思います。」
“世界基準”目指す韓国 増税の行方は?
国立がん研究センター たばこ政策研究部長 望月友美子さん
「たばこ政策の中で1番象徴的なのは、喫煙者の目にとまる、たばこのパッケージなんですが、ここに日本と同じような文章だけの注意文言が書かれていたのを、韓国政府はこれを世界標準に近づけようということで、画像付きの警告表示を検討しているということです。
そういった動きを、1つは学術団体、とくに韓国の国立がんセンターなどが研究だけでなしに、政治家への強い影響力も行使しながら政策提言を行ったり、あるいはそういったものを全体でサポートしようというような同盟作りなども積極的に行っています。
例えば軍隊で多くの韓国人たちは、たばこをおぼえるということも分析されまして、軍隊の中での禁煙奨励ということも始められたり、ソウル市内での政策とすれば、市の中で路上喫煙の禁止条例が2008年にできるなど、それからそれが拡充されて、屋内の禁止条例ができるというような動きも連動して起こっています。
今回の増税の行方なんですけれども、もしさらなる増税が実現すれば、それがたばこ対策予算、それから健康増進政策予算に充当されることによって、今までの韓国でまだまだ不十分だった政策の実現に役に立つのではないかと思います。
世界標準に近づけるためのあらゆる手立てを打とうと、それが今の韓国政府のスタンスだと思います。」
野田
「韓国はこれまで、日本の政策も参考にしながら禁煙政策を行ってきました。喫煙率低下の切り札とも言われる『増税』が実現するのか、今後も注目です。」